採寸へのこだわり

『サイズの合った使い易い』防具を用意するには正確な採寸が絶対条件となります。
いくら高価な素材を使用した高級な防具でもサイズが合っていなければあなたにとって『良い』防具とは言えません。

そんな大切な採寸の要点をまとめさせて頂きました。

採寸の前に

  • 採寸は必ず他の方に測ってもらって下さい。自身では正確に測れません。
  • 必ず布メジャーか紙メジャーをご使用下さい。金属メジャーでは正確には測れません。
  • 測る際にはメジャーが食い込まないように、そして緩すぎないように注意して下さい。
  • 隙間が生じないように、正しい位置で測れているかご確認下さい。
面
面のサイズを図る際には

  • ①面サイズA(顎から頭頂部の周囲)
  • ②面サイズB(鉢巻部分の周囲)
  • ③物見(顎から目までの高さ)⇒追って詳しく説明しますが絶対に必要な採寸項目となります。

以上3点を採寸していきます。

①面サイズA(顎から頭頂部の周囲)
顎の先から耳の前を通り、頭頂部を1周させた長さです。
特に採寸が難しい箇所ですので必ず他の方に測ってもらって下さい。

測り方の手順を説明していきます。

手順1左頬から顎の下部分を引っ掛けるようにメジャーを回していきます
手順2顎の下部分から右耳手前部分を通します
手順3右耳手前から頭頂部(ツムジ部分)を通します
手順4頭頂部(ツムジ部分)から左耳手前と頬を通します。
交差している値(赤○)が面サイズA(顎から頭頂部の周囲)の数値です

①面サイズA(顎から頭頂部の周囲)の数値を元にお顔が直接触れる内輪の寸法を出していきます。
この時点で採寸が誤っていると面がきつい・緩いの原因となります。

②面サイズB(鉢巻部分の周囲)
鉢巻部分を水平に1周させた長さです。

髪でメジャーが緩まないよう注意して採寸して下さい。
メジャーが曲がってしまうと正しい採寸が出来ません。
水平になるよう意識して採寸して下さい。

②面サイズB(鉢巻部分の周囲)の数値を元に面布団の幅の寸法を出していきます。
この時点で採寸が誤っていると後頭部が出てしまう面になってしまったり
幅が広すぎて紐を締めると面布団が巻いてしまう状態になります。
③物見(顎から目までの高さ)
顎から目までの高さを図ります。
曲り尺を使用して採寸していきます。
定規やメジャーでは正確に採寸出来ないので曲り尺での採寸を強くオススメします。
曲り尺
③物見(顎から目までの高さ)の数値を元に面の物見の高さを出していきます。
この時点で採寸が誤っていると物見が合わず、相手を見づらい面となってしまいます。

NG

物見合っていない状態
OK

物見合っている状態

どちらが良いかは言うまでも無いかと思います。
面のサイズばかり重視している方が多いですが、サイズは合っていても「物見」が合っていない方を多く見かけます。
物見が合っていないと見やすくする為に顎が前に出てしまったり、逆に顎を引き過ぎてしまう癖がついてしまいます。

胴
胴は「胸」と「胴台」の2つのパーツから出来ています。
体型に合った胸と胴台の幅や高さをそれぞれ組み合わせて(実際に着装してもらいながら)採寸していきます。
既成の胸サイズをベースに、体格に合わせて高さと幅を調整します。
胴台の種類に合わせて胸の足の部分のカーブに合った型をご用意していきます。
サイズが合っていないと胴全体が重く感じてしまいます。
他にも左右にずれてしまったり、腕が伸ばせない、つかえてしまうような弊害が出てきます。

また、胸の幅(右図の赤部分)が合っていないと「脇を締める」という基本動作が出来ず、そもそも竹刀を真っすぐ振り上げることが出来ません。

甲手
甲手のサイズを図る際には

  • ①甲手サイズA(長さ)
  • ②甲手サイズB(巾)

以上2点を採寸していきます。
採寸する際には手のひらに力を入れず、自然な状態で測って下さい。

①甲手サイズA(長さ)
手のひらに近い1番目立つ筋から中指の先端までを図ります。
②甲手サイズB(巾)
親指の付け根と小指の付け根の1番膨らんでいるところの1周を図ります。
その際に余りが出ないよう手のひらのへこみ部分にメジャーを指で押さえて採寸するようにして下さい。

①②で採寸した数値を元に甲手の長さと幅を出していきます。
長さと巾が合っていないと手の内の革が余ったり、指が詰まるようになってしまいます。
手の内が余ると余分な革が邪魔をして竹刀を握りづらくなりますし、指が詰まっていると爪を怪我する原因になり、もちろん竹刀が握りづらくなります。

垂
垂は大垂3枚、小垂2枚、帯、紐のパーツから出来ています。
それぞれの長さや、幅、高さを採寸していく必要があります。
面や甲手のように決まった項目を採寸するというより、ウエストサイズはもちろんのこと、身長や体格を踏まえ相対的に数値を出していきます。

垂は防具の中でも軽視されがちな部分もありますが、腰を中心に下半身を守る大事な防具です。
しっかりとサイズの合った垂を着けるようにしましょう。

また、腰を圧迫し過ぎる硬い垂は怪我の原因となりますので帯の柔軟性とコシは必要不可欠です。
当店では芯材の1枚までこだわり、サイズはもちろんのこと、使われる方の理想の厚みまで追求していきます。